関節リウマチの ACR/EULAR 新診断基準(2010年)に含まれる 抗CCP抗体 とは

抗CCP抗体は 早期関節リウマチの補助診断に大変重要な検査だが、陰性の場合も 20~30% あるので、診断にあたっては 関節所見や他の血液検査も含めて総合的に判断することが必要

先に述べました(2010.10.12)、ACR/EULAR の関節リウマチの新診断基準(2010年)に含まれる、抗CCP抗体について説明します。

関節リウマチ(RA)の診断は時に難しく、経過を追ってみないと分からないことがあります。今までは 診断のための血液検査としては リウマチ因子(RF)が用いられることがほとんどでした。ところが リウマチ因子は他の膠原病でもしばしば陽性となり、健康な人(特に老人)、慢性感染症、肝臓病などでも時折 陽性となることがあります。また RAでも20-30% の人がずっと陰性ですし、RA発症早期は陰性のことも多い様です。

これまでRAを疑うけれど確定診断がつかない時に この検査をすれば確実に診断がつくという検査はありませんでした。ところが 最近、CCPという物質がRAの関節滑膜に存在していることが判明し、それに対する抗体である抗CCP抗体の血液中の存在の有無を調べることでRAの診断の補助が可能となりました。抗CCP抗体はRAに対して特異性が高いため(他の疾患で陽性になりにくい)、この抗体が高値の人はRAであるか、もしくは将来RAになる確率が非常に高く(約95%の確率)、早期RAの診断が重要視されている現在、補助診断として大変重要な検査となりました。

但し、RAの患者でも約20%は 抗CCP抗体が陰性であり、さらに関節炎の早期であれば後にRAと診断された人の約40%が初期は陰性という報告もあります(やや感度が低い)。ですから RAを疑ってこの検査を行った時、陽性なら95%の確率でRAと言えますが 陰性だからといってRAではないとは言えないので注意が必要です。

この他、抗CCP抗体が陽性のRAは 陰性のRAよりも関節の骨破壊が強く進みやすい(抗体価の高い程、将来 骨破壊が進行しやすい)、抗CCP抗体価が 100以上の場合、治療に MTXだけでなく 生物製剤が必要になることが多いなどの報告もあります。

以上の様に、抗CCP抗体は関節リウマチの診断の補助には 大変重要な検査ですが、その陽性・陰性だけで 安易にRAだ、そうでないを即断しないことが重要と思います。

(2010.12.12)