関節リウマチと喫煙との関係について

だんだん明らかになってきた喫煙と関節リウマチの関係

タバコの煙にはニコン、一酸化炭素、タールが含まれるのみならず、タールの中には数十種類にも及ぶ発がん物質が含まれています。このため喫煙することにより循環器系、呼吸器系などに対して血圧上昇、心拍数増加、咳・痰、息切れといった急性影響が見られます。また喫煙者では肺がんをはじめとする種々のがん、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、慢性気管支炎・肺気腫などの閉塞性肺疾患、胃・十二指腸潰瘍などの消化器疾患、その他種々の疾患のリスクが増大することが知られています。
最近、喫煙と関節リウマチとの関係がだんだん明らかになってきました。

(1)関節リウマチの発症に対する喫煙の影響

関節リウマチ発症率に関し、喫煙群は非喫煙群の1.4~2.5倍高く、さらに男性の喫煙群では4倍高いという報告があります。そして40年以上の喫煙歴を持つ人では、13.5倍にもなります。 またある特殊な遺伝子を持つ喫煙者は この遺伝子を持たない非喫煙者に比べて 関節リウマチの発症率が 21 倍もあることが最近の研究で明らかになっています。

(2)関節リウマチの経過に対する喫煙の影響

喫煙者は非喫煙者に比べてリウマチ因子(RF)の陽性率が高くかつ高値を示し、特に男性でこの傾向が強いことがわかっています。また喫煙者ではレントゲンで関節破壊の程度が強いという報告があります。逆に禁煙することにより 関節リウマチの症状が軽快することも明らかになっています。

(3)関節リウマチの合併症に対する喫煙の影響

関節リウマチの患者さんはそうでない人に比べて心筋梗塞や脳梗塞などの血管疾患の発症率が高いことがわかっていますが、喫煙は動脈硬化を促進することによりこれらの疾患の発症に悪影響を及ぼすことが考えられます。また関節リウマチに見られる肺病変(2010.12.27)の項で述べたように関節リウマチは間質性肺炎や気管支拡張症を合併することが知られていますが、喫煙はこれらの合併症の発症や症状の悪化に密接に関連することがわかっています。

以上のように、喫煙は関節リウマチの発症と関連があり、その経過、合併症に対して悪影響を及ぼしますので避けるべきです

(2011.02.14)