WISH YOU WERE HERE, 炎~あなたがここにいてほしい ( PINK FLOYD )

WISH YOU WERE HERE (PINK FLOYD) / 1975年9月発売

1975年に発売されたPINK FLOYDのアルバムで全英・全米第1位という大ヒットを記録しました。ジャケットはPINK FLOYDには欠かせないアートワーク集団ヒプノシス(Hipgnosis)によるものです。邦題の「炎~あなたがここにいてほしい」は日本での発売にあたって メンバーからの要求によるものといわれています。

先に紹介したロック史に燦然と輝く不朽の名作といわれる「THE DARK SIDE OF THE MOON(狂気)」が 当の本人達も二度と超えることのできない完成度を誇る歴史的名盤というのは多くの人々が認めるところです。しかし、そうであったために必然的に次作品には全世界からの期待がかかり、相当な重圧のもと 遅々として進まないレコーディングでバンドが解散寸前まで追い詰められて完成したのがこのアルバムであるといわれています。
私はこのアルバムを30年以上聴いていますが、David Gilmourの刺激的ではあるが時に心地よく眠気を誘う彼のベスト・プレイといえるギターが聴けるすばらしいアルバムと思っています。

メンバーは否定していますが、「Shine On You Crazy Diamond」と「Wish You Were Here」はデビュー前から独特のカリスマ性をもって実質的にリーダーとしてバンドを牽引してきたSyd Barrettにささげられた歌だといわれています。

このアルバムの一番の聴きどころは始まりと終わりに分けて収録された「Shine On You Crazy Diamond」です。なかでも曲のほとんどを埋め尽くしているDavid Gilmourのギターは すばらしいの一言です。ただのProgressive Rockのギタリストではありません。彼のブルースを基調としたリフは要所で聴く人を引き付け、刺激します。彼の泣きのブルース・ギターといわれるプレイこそがPINK FLOYDの魅力であり、その後のバンドにおけるギタリストとしての地位を確固たるものとしました。また この曲におけるRichard Wrightのシンセサイザーも 曲に幻想的で重厚感のある雰囲気を与えるのに非常に貢献していると思われます。

このアルバムはすばらしい作品だと思いますが、評価が今一つなのは 大作「Shine On You Crazy Diamond」の間にはさまれる「Welcome To The Machine」「Have A Cigar」「Wish You Were Here」のできがいま一つなのが原因になっているのかもしれません。前作があまりにもすばらしかったので仕方のない結果なのでしょうか。