骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版について(主な改訂項目)

脆弱性骨折なしの場合の治療開始基準で若干の変更がなされた他、抗RANKL抗体やビスホスホネート製剤の一部に高い評価が与えられました。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版が7月に発刊されました。2011年版以来となりますが、その間に骨粗鬆症の診療における重要な基準の改定が相次いだこと、新規の作用機序を有する薬剤や既存薬の新たな剤形が登場したことから改訂版が策定されました。内容は原発性骨粗鬆症で脆弱性骨折(わずかな外力で生じたと考えられる非外傷性骨折のこと)がない場合の薬物治療開始基準に若干の変更がなされた他、治療薬の評価は推奨グレードではなく有効性となり、選択しやすくなりました。

*A,B,C の意味は本文中の説明を参照

具体的には新規のテリパラチド酢酸塩(テリボン®)、イバンドロネート(ボンビバ®)、抗RANKL抗体デノスマブ(プラリア®)、既存薬の注射剤や点滴製剤といった新しい剤形に関する情報とエビデンスを追加したほか、治療薬の選択や評価管理に関する記述を追加しました。
さらに 骨粗鬆症治療薬については推奨グレード(A-D)に替えて「有効性の評価(A,B,C)としました。骨密度上昇効果については 「A :上昇効果がある」「B:上昇するとの報告はある」「C:上昇するとの報告はない」、骨折発生抑制効果は椎体・非椎体・大腿骨近位部のそれぞれについて「A:抑制する」「B: 抑制するとの報告がある」「C:抑制するとの報告はない」との基準で評価することになりました。
骨粗鬆症に適応がある治療薬のなかで デノスマブ(プラリア皮下注60mgシリンジ®)、アレンドロネート(フォサマック®、ボナロン®)、リセドロネート(ベネット®、アクトネル®)の有効性については 骨密度上昇効果ならびに椎体・非椎体・大腿骨近位部いずれの骨折発生抑制効果ともにA評価が下されています。
(2015.10.17)