ACR/EULAR の関節リウマチの新診断基準(2010年)について
早期に関節リウマチを診断して治療を開始することにより、寛解を目指します
日本でも広く用いられてきたアメリカリウマチ学会の診断基準が23年ぶりに改定され、アメリカリウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)共通の診断基準となりました。
この改定で、以前の基準と大きく変わった点は、レントゲンの画像所見が消えたこと、対称性の関節炎が消えたことです。つまり、レントゲンで分かるほどの骨の破壊が来るのを待ってはいけない、ひとつの関節の関節炎であっても診断可能になったということです。
世界的にリウマチの標準治療薬となったメトトレキサート ( MTX ) の投与や、さらには、生物学的製剤の投与により早期関節リウマチの寛解 ( 関節リウマチによる痛み・腫れがなく、炎症所見がない状態 ) の可能性が出てきている今、関節破壊が起こる前のなるべく早期に専門的な治療を患者さんが受けられることが重要で、そのための診断基準であると考えられます ( 但し、少なくとも1ヶ所の腫れた関節のあることが診断のために必須です ) 。
①関節炎の数と分布
0点 | 1ヶ所の中~大関節 |
1点 | 2~10ヶ所の中~大関節 |
2点 | 1~3ヶ所の小関節 |
3点 | 4~10ヶ所の小関節 |
5点 | >10ヶ所の関節(少なくとも1つは小関節) |
②血清
0点 | 抗CCP抗体およびRF陰性 |
2点 | 抗CCP抗体およびRF低値陽性 |
3点 | 抗CCP抗体およびRF高値陽性 |
③関節炎の持続期間
0点 | 6週間未満 |
1点 | 6週間以上 |
④急性期反応物質
0点 | CRP および ESR正常 |
1点 | CRP または ESR異常 |
上記の合計点が10点満点中、6点 以上でRA確定例と診断される。
(2010.10.12)