Ssssh ( TEN YEARS AFTER)

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Ssssh ( TEN YEARS AFTER ) / 1969年8月発売

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最近の Alvin Lee とGIBSON ES-335

SANTANA と同様に 1969 年の Woodstock Festival での熱演で人気を確固たるものにしたのが TEN YEARS AFTER でした。映画 Woodstock での10 分にも及ぶ「 I'm Going Home 」の Alvin Lee の般若面でのシャウトや縦横無尽のギタープレイは当時の語り草で これからも忘れられることのないシーンでしょう。

TEN YEARS AFTER は1965 年に結成され、ブルースをベースにしてジャズやリズム・アンド・ブルースなど多様なハード・ロックの原型とも言える楽曲をプレイしていました。このバンドの一番の売りは Alvin Lee のギターで 彼のギターは当時としてはおそろしく早弾きで「早弾き西洋一」と言われ、そのフィンガリングは「マシンガン・ピッキング」の異名をとっていました。
彼の愛用のギターは GIBSON ES-335 と言われるセミ・アコースティックギターでした。ES-335 の愛用者といえば Chuck Berry や B.B King が有名です。Alvin Lee はエフェクターは使わずにES-335 と Marshall Amp を直結し、Amp で歪ませてあの音を出していた様です。

10 年続くグループであるようにとの願いで作られた TEN YEARS AFTER でしたが、1974 年に解散したので願いは実現しませんでした。彼らの音楽は Muddy Waters や T-Bone Walker の様な本物のブルースに近い曲が多かったためか 一般の受けが悪く、Leeの早弾きに惹かれた人達も時代と共に離れてゆき、70年以降LED ZEPPELIN の様なブルースの影響はうけたものの、大衆受けするギター・リフとメロディアスな早弾きを売り物にするグループが たくさん台頭してきたため あまり評価されなくなり、忘れ去られてしまったのかもしれません。さらに Woodstock での熱演があまりもすごかったため それを超えるものを常に求められた結果、バンドとしての音楽活動が行き詰ってしまったとも考えられます。
しかし解散後も 時折再編して 80 年代から90 年代にかけて演奏活動を行なって来た模様です。最近は Alvin Lee 抜きで 新しいギタリストを入れて 新成 TEN YEARS AFTER として演奏活動を行なっています。

ここに紹介する Ssssh というアルバムは彼らの 4 作目のアルバムでロック名盤選には必ず選ばれるくらい定番化された傑作です。
「アクロバティックな早弾きだけ」などと陰口をたたかれる Alvin Lee ですが、このアルバムを聴いていると決してそんなことはないと確信します。派手なギター・リフは少ないですが「Good Morning Little Schoolgirl 」などでの彼の技量は大したものと思われます。バックのオルガン、ベース、ドラムの一体感も素晴らしく感じられます。
さらに 一度聴いたら忘れられない彼らの傑作の1曲が 最後の「 I Woke Up This Morning ― 夜明けのない朝 」です。この曲は私が TEN YEARS AFTER の曲の中で Love Like A Man と共に最も好きな曲ですが、1969 年に発表された曲ということで それ以降のブルース・ロックの新時代を切り開いた曲と評価してよいでしょう。

このアルバムは ブルース・ロック好きの人は必携の名盤と思われます。