MACHINE HEAD ( DEEP PURPLE )

MACHINE HEAD ( DEEP PURPLE ) 1972年3月発売
アナログ盤の内ジャケットに並べられたレコーディング写真

DEEP PURPLE にとって IN ROCK と並ぶ、いやそれ以上の傑作とされるアルバムで 大変まとまった ほぼ完璧と言っても過言でないサウンドで埋めつくされている Classic Rock の歴史的名盤です。個人的にも DEEP PURPLE の最高傑作と思います。当初、このアルバムはスイスのモントルーというジャズ・フェスティバルで有名な街にあったカジノを借り切ってライブに近い方法で録音される予定だったのが 火事で焼けてしまい、止むを得ず滞在ホテルの廊下で録音したという逸話が残っており、アナログ盤の内ジャケットにはその時の写真が並べられています。

全体を通してみると ギター・リフの洪水とも言えるくらいRitchie Blackmore のギターは冴えまくり、これこそClassic Rock の醍醐味と言えるものです。この時期における Jimmy Page と Ritchie Blackmore は 2 大リフ・メーカーと言って良いでしょうし、売れるアルバムはこう作るべきだと共通の考えを持っていたと思います。

しかも、DEEP PURPLE には音響的に厚みのあるのが特徴で これは Jon Lord のdistortion の効いた、そして時にはリズムギターの働きもするハモンドオルガンによる所が大です。さらに 地味だが groove 感のある Roger Glover のベースと シンバル音を極力抑え、中音を強調した Ian Paice のドラムの貢献もあります。

収録曲を個別に聴いてゆくと 冒頭のスピード感のある超有名な曲 Highway Star は誰がなんと言おうと文句なしに素晴らしい曲です。ギターとオルガンが同じリフを弾くところから始まる Maybe I'm A Leo、歪んだ音のハモンドオルガンをバックに美しいギターのメロディーが印象的な Pictures Of Home、R&B風のピアノが特徴でボーカルも美しいNever Before  と捨て曲というものがなく前半を一気に聴いてしまいます。
そしてあまりにも有名な Smoke On The Water です。ギター・リフ人気投票で常に上位にランクされる名曲です。この曲の成り立ちは BS-TBS の Song To Soul でもとりあげられて メンバーが解説しています。それによると DEEP PURPLE の録音に先立ってFRANK ZAPPA&THE MOTHERS OF INVENTION がライブを行っていた所、観客の一人が興奮のあまり、天井に向けて照明弾を打ち込み、そのため 建物が炎上し 全焼して、このせいでレコーディングは中止、延期されてしまいました。レコーディング場所のなくなった彼らは空いていたホテルを使用して なんとかレコーディングを終了することができたのですが、対岸から見たこの時の火災の様子を歌詞にしたのがこの曲だったのです。
この曲は Ritchie の言う通リ、実に「Simple」で効果的なリフから成り立っており、このリフにドラムが続き、さらに何とも言えない絶妙なタイミングで Glover のベースが入ってきます。そしてキーボードが加わり、徐々に厚みを増してゆくイントロは素晴らしく何度聴いても飽きが来ない実に計算しつくされた曲です。また途中のストラトキャスターならではの美しいギター・ソロも素晴らしいです。
次の Lazy は私が気に入っている曲の1つです。少しジャズ・ブルースっぽい曲で Jon Lord の歪んだハモンドオルガンから始まり、ドラムの小気味良いリズムが加わり、そして長いギター・ソロが続き、さらにキーボード・ソロと入れ替わり 高音で Lazy~とシャウトする Gillan のボーカルが組み合わさって実に気持ちが良いのです。この曲と次の曲での小気味良い Ian Paice のドラムとRoger Glover のgroove 感のあるベースは特筆ものです。
そしてアルバムの最後のSpace Truckin' はかなり heavy な曲ですが、印象的なリフの繰り返しに Gillan のボーカルがかぶさっている大ロックンロールです。Gillan のハイトーン・ボーカルはもう楽器の一部と化しています。

スピード感、重厚な音作り、リフの洪水。 これらがこのアルバムの特徴であり、第2期 黄金時代のDEEP PURPLEの特徴でもありました。一曲も退屈な曲がありません。2~3 回聴けば全曲頭の中に焼き付いてしまう曲ばかりです。

このアルバムは Classic Rock の名盤の一枚として自信をもって推薦できます。また その後のミュージシャンからも高い評価を受け、2012 年に METALLICA, IRON MAIDEN, CHICKENFOOT, SANTANA などの現代のトップ・アーティスト達が完全リメイクした RE-MACHINED : TRIBUTE TO DEEP PURPLE'S MACHINE HEAD というアルバムをリリースしています。また このアルバムは2012年7月16日に死去した Jon Lord への追悼盤ともされています。

re-machined

RE-MACHINED : TRIBUTE TO DEEP PURPLE'S MACHINE HEAD / 2012年9月発売