関節リウマチの治療費にかかわる公的支援について

関節リウマチの治療は長期にわたることから 医療や福祉の面においても さまざまな公的支援がありますが、これらのサービスは患者の皆さまご自身で申請を行わない限り、受けることができないものがほとんどです。この項では公的支援の概要をご紹介したいと思います。

医療費にかかわる公的支援には次の4つがあります。

(1)各種保険制度および医療費控除

同じ病院や診療所で支払った1カ月の医療費自己負担額(外来診療、入院診療ごとにそれぞれ計算)が自己負担限度額を超える場合、限度額を超えて支払った自己負担分を 「高額療養費」として 払い戻しを受けることができます。

詳しくは国民健康保険の場合は 市区町村の国保または国保組合の窓口へ、被用者保険の場合は各事業所(あるいは全国健康保険協会都道府県支部)の窓口へ問い合わせて下さい。

その他、

  • 高額医療、高額介護合算(療養費)制度
  • 高額療養(医療)費貸付制度
  • 医療費控除(確定申告の時)
  • 傷病手当金

などがあります。

(2)特定疾患治療研究事業

悪性関節リウマチは「特定疾患治療研究事業」の対象疾患に指定されていますので 治療にかかった医療費(保険診療分)の自己負担の一部または全額が公費で助成されます。月額の自己負担は、所得に応じて定められた限度額までとなります。医療費の助成を受けるには 所定の手続きを行い、「特定疾患医療受給者証」の交付を受けることが必要です。(一般の「関節リウマチ」の患者様は この事業による医療費の公費助成を受けることはできません。悪性関節リウマチと診断され、所定の手続きを行い 認定された方のみです。)

(3)「身体障害者手帳」の交付を受けられた方が利用できる福祉制

○重度心身障害者医療費助成制度(身体障害者手帳1~2級が対象)

病院などで受診した時の医療費(保険診療分)の自己負担の一部について助成を受けることができます。

○自立支援医療(更生医療)の給付(身体障害者手帳1~6級が対象)

障害の軽減や除去、機能回復を目的とした医療(人工関節手術など)を必要とする場合は、自立支援医療(更生医療)の給付を受けることができます。

○身体障害者手帳などの利用による各種サービス

公的援助サービスには 福祉(ホームヘルパーの派遣、短期入所、日常生活用具給付、車いす、歩行器などの交付、バリアフリー化支援)、手当・年金(特別障害者手当、児童扶養手当、生活福祉資金貸付制度、障害年金)、住宅に関する援助、税の減免、各種割引制度(JR各社・私鉄各社旅客運賃、航空運賃、タクシー料金、携帯電話使用料)、自動車に関する助成制度(身障者用の自動車改造費、身障者運転免許取得費、自動車購入資金貸付、有料道路通行料金割引、駐車禁止除外指定車章の交付)などがありますが、各地域の自治体により条件や内容が異なりますので詳細は各市区町村役場にお問い合わせください。

(4)介護保険制度

40歳以上の関節リウマチの方は認定された支援・介護度に応じて介護サービス、介護予防サービスが受けられるようになります。サービスには在宅で受けることができる「在宅サービス」と住み慣れた地域での生活を支える「地域密着型サービス」、施設に入所して受ける「施設サービス」があります。

在宅の介護サービスには福祉用具の貸与および購入費の支給、住宅改修費の支給、訪問入浴介護、訪問・通所によるリハビリテーションなどがあります。施設での介護サービスには 介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの入所サービスや短期入所(ショートステイ)などがあります。

詳しい手続きは 各市区町村役場にお問い合わせください。

以上の医療・福祉制度などは 平成22年8月のものです。各制度は年度ごとの改定のほか、自治体により詳細が異なることがあります。

(2010.11.05)