「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2014年版」について

2014年版は 日本でのエビデンスを基に簡便にリスク評価ができるようにし、臨床現場で使いやすい指針となることを目指しました

前回(2014年4月14日)のTopics直後の2014年4月17日に日本骨代謝学会から「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2014年版」が発表されました。前版は2004年に出されており、10年ぶりの改訂となります。改訂の理由として前版を遵守する医師が2割程度しかいなかったため、日本でのエビデンスを基に 簡便なリスク評価ができるようにして臨床現場で使える指針とすることを目指したとされています。
改訂された本指針は「既存骨折」「年齢」「ステロイド投与量」「腰椎骨密度」の4つの危険因子ごとにスコア付けし、スコアが3以上なら薬物療法を推奨する仕組みになっています(図1 参照)。

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スコアが3以上であれば 第一選択薬として アレンドロネート(フォサマック®、ボナロン®)またはリセドロネート(アクトネル®、ベネット®)、の投与を推奨しています(図2参照)。

ステロイドの内服や点滴による骨粗鬆症患者は日本に約200万人いると推定されています。骨粗鬆症はステロイド投与による最も多い副作用として知られており、椎体骨折や大腿骨近位部骨折といった関連骨折につながります。骨折リスクは投与開始から3~6カ月でピークに達します。前回のTopicsにも書いたように 低用量の使用であっても安心はできないとされています。
また 今は投与されていなくても 過去に一度でも3ヶ月以上のステロイド投与歴があれば骨折リスクは 2.25倍に上がります。たとえ投与中止後に骨密度が回復しても 骨の構造自体に異常がおこるため 数年間にわたり骨折リスクは低下しません。年齢が若くても同様で、椎体骨折のリスクは女性よりもむしろ男性に高いとみられています。
(2015.07.21)