Dr.OHIRA's HOBBY ROOM

ERIC CLAPTON 日本武道館公演 16 April, 2016

eric

ec-16-april-tokyo-2016

Eric Clapton の2016年日本武道館公演、3夜めの4月16日に行ってきました。昨年4月のPaul McCartney公演からちょうど1年ぶりの武道館でした。会場内にはCREAMの頃からのファンと思われる杖をついたお年寄りもみられました。

開始予定時刻を約5分ほど過ぎた頃 客席の照明が消えて Ericの登場です。右後方から歩いてステージ中央まで来るとMCなしで静かに一礼、そして演奏がすぐ始まりました。何とステージ衣装は3本線のジャージです。リハーサルのような格好です。ファッションにはうるさいEricのことですから考えがあってのことかもしれません。しかし 歩き方もお年寄りのようです。うわさによるとどうも持病の腰椎椎間板ヘルニアの状態が悪いようです。座っての演奏が多かったのはそのせいでしょうか? 過去に海外公演が中止になったこともあるそうです。本人もツアーの移動が苦痛だと言ってます。このような状態で来てくれただけでもうれしいですね。しかしうわさどおりこれが最後の日本公演になってしまうのでしょうか。来年は招聘元のウドー音楽事務所創立50周年です。Ericと有働社長の40年以上にわたる長い付き合いを考えると希望がもてます。

clapton-2016

Set list は満足できるものでした。演奏自体も素晴らしかったです。Somebody’s Knockin’, Key To The Highway, Nobody Knows You When You’re Down And Out などは何度聴いても飽きが来ません。なんといっても I Shot The Sheriff (見事なカッティング! ), Crossroads, Cocaine といった曲を生で聴けたのはClassic Rockのファン にとって一生の思い出となるものでした。あのギターの音は生で聴くと素晴らしいですね。歪んだ音はエフェクターを調節すればいくらでも出せますが、Clapton の様にちょっと歪ませたきれいな音は簡単に出せるものではありません。God と言われた人にしか出せない音があるようです。アンコールでは多くの人が期待したLaylaはなく、挨拶もなく帰ってしまったEric Claptonですが、 そこが CREAM 時代を思い起こさせるcool なギター職人として大絶賛したくなります。

Eric Clapton & His Band
16 April 2016 Set List
Nippon Budokan, Tokyo Night 3

01. Somebody’s Knockin’ *
02. Key To The Highway
03. Hoochie Coochie Man
04. Next Time You See Me
05. I Shot The Sheriff
06. Circus Left Town
07. I Dreamed I Saw St. Augustine *
08. Nobody Knows You When You’re Down And Out
09. I Will Be There *
10. Cypress Grove *
11. Sunshine State
12. Gin House
13. Wonderful Tonight
14. Crossroads
15. Little Queen Of Spades
16. Cocaine
17. High Time We Went (encore)

* From EC’s forthcoming album, I Still Do.

The Band:

Eric Clapton?-?guitar, vocals
Andy Fairweather Low?-?guitar, vocals
Chris Stainton?-?piano, keyboards
Paul Carrack?-?organ, keyboards, vocals
Dave Bronze?-?bass
Henry Spinetti?-?drums
Dirk Powell?-?multi-instrumentalist
Michelle John?-?backing vocals
Sharon White?-?backing vocals

ericvisvim

今、世界が最も注目する靴を創り出す日本のデザイナーブランド「Visvim, ビスビム」の愛用者としても有名です。

WISH YOU WERE HERE, 炎~あなたがここにいてほしい ( PINK FLOYD )

pink-floyd-1 pink-floyd-2
WISH YOU WERE HERE (PINK FLOYD) / 1975年9月発売

1975年に発売されたPINK FLOYDのアルバムで全英・全米第1位という大ヒットを記録しました。ジャケットはPINK FLOYDには欠かせないアートワーク集団ヒプノシス(Hipgnosis)によるものです。邦題の「炎~あなたがここにいてほしい」は日本での発売にあたって メンバーからの要求によるものといわれています。

先に紹介したロック史に燦然と輝く不朽の名作といわれる「THE DARK SIDE OF THE MOON(狂気)」が 当の本人達も二度と超えることのできない完成度を誇る歴史的名盤というのは多くの人々が認めるところです。しかし、そうであったために必然的に次作品には全世界からの期待がかかり、相当な重圧のもと 遅々として進まないレコーディングでバンドが解散寸前まで追い詰められて完成したのがこのアルバムであるといわれています。
私はこのアルバムを30年以上聴いていますが、David Gilmourの刺激的ではあるが時に心地よく眠気を誘う彼のベスト・プレイといえるギターが聴けるすばらしいアルバムと思っています。

メンバーは否定していますが、「Shine On You Crazy Diamond」と「Wish You Were Here」はデビュー前から独特のカリスマ性をもって実質的にリーダーとしてバンドを牽引してきたSyd Barrettにささげられた歌だといわれています。

このアルバムの一番の聴きどころは始まりと終わりに分けて収録された「Shine On You Crazy Diamond」です。なかでも曲のほとんどを埋め尽くしているDavid Gilmourのギターは すばらしいの一言です。ただのProgressive Rockのギタリストではありません。彼のブルースを基調としたリフは要所で聴く人を引き付け、刺激します。彼の泣きのブルース・ギターといわれるプレイこそがPINK FLOYDの魅力であり、その後のバンドにおけるギタリストとしての地位を確固たるものとしました。また この曲におけるRichard Wrightのシンセサイザーも 曲に幻想的で重厚感のある雰囲気を与えるのに非常に貢献していると思われます。

このアルバムはすばらしい作品だと思いますが、評価が今一つなのは 大作「Shine On You Crazy Diamond」の間にはさまれる「Welcome To The Machine」「Have A Cigar」「Wish You Were Here」のできがいま一つなのが原因になっているのかもしれません。前作があまりにもすばらしかったので仕方のない結果なのでしょうか。

2015年4月28日 Paul McCartney 日本武道館公演

p1000700

p1000766

p1000856

p1000814

Sir Paulの長年の功績に対する主催者からの感謝の演出がこれでした

Paul McCartney

B1ブロック、前から3列目でした

img_0393

bootpaul2015 sim
早くも武道館公演のboot CD登場です(上・下)

2015年4月28日、Paul McCartneyの日本武道館公演に行って来ました。
THE BEATLESとしての初来日から49年ぶりにPaulが武道館のステージに立つということで注目されたコンサートでした。また全国のニュースでも多くの時間を割いて報道されました。何万人もの人が コンサート終了から2週間経った現在でも いまだ興奮と感動が覚めず、幸せな気分に浸っているに違いありません。Rock’n Roll の力は偉大です。

公演は予定時間よりかなり遅れて20時頃にはじまり、22時前に終わりました。全30曲とドーム公演に比べて演奏曲数も少なくなっていました。しかし 会場が小さいだけに観客の興奮と熱気もじかに伝わってきました。後半Let it beの演奏をポールが始めると、武道館の観客全員が事前に装着してたリストバンド型ライトが一斉に光りポールを驚かすという主催者が用意したサプライズで ポールが感動して涙ぐむ場面もありました。
また アルバムではJohnが歌っていた One After 909, Being For The Benefit Of Mr.Kite や 世界で初めて披露するという Another Girlを聴くことができました。

コンサートも最終日でPaulの声の状態もベストの状態ではありませんでしたが、1万人の人々と感動を共有できました。あの伝説の人がすぐそこにいたのです!。まさか 自分が生きてるうちにYesterday を生で聞けるとは思っていませんでした。

THE BEATLESのLennon-McCartneyは稀代のヒット・メーカーとされています。彼らの多くの曲に共通するものは ① Upbeatのテンポの曲が多い ②覚えやすいシンプルな歌詞である ③覚えやすいシンプルなリフを持った曲である ④演奏時間が3分以内である  という重要な共通点があります。

60年台後半から70年台前半に我々を熱狂させてくれたような音楽は今はあまりありません。もう一度原点に戻る「GET BACK」必要があるかも知れません。
(武道館セットリスト)

Can’t Buy Me Love
Save Us
All My Loving
One After 909 ※日本公演本編では初披露
Let Me Roll It
Paperback Writer
My Valentine
Nineteen Hundred and Eighty-Five
Maybe I’m Amazed
I’ve Just Seen A Face
Another Day
Dance Tonight ※日本初披露
We Can Work It Out
And I Love Her
Blackbird
New
Lady Madonna
Another girl ※世界初披露
Got To Get You Into My Life ※久しぶり
Being For The Benefit Of Mr. Kite!
Ob-La-Di, Ob-La-Da
Back In The U.S.S.R.
Let It Be
Live And Let Die
Hey Jude

Yesterday
Birthday ※日本公演本編では初披露
Golden Slumbers / Carry That Weight / The End

 

THE DARK SIDE OF THE MOON – 狂気 ( PINK FLOYD )

the-dark-side-of-the-moon the-dark-side-of-the-moon-2
THE DARK SIDE OF THE MOON (PINK FLOYD) / 1973年3月発売

THE DARK SIDE OF THE MOON は1973年に発売されたPINK FLOYD の7作めのスタジオ録音アルバムです。THE BEATLES で有名な英国のAbbey Road Studio で録音されました。
1973年に発売されるや 全世界で大ヒットを記録し、アメリカ・ビルボードのBillboard200 において1973年4月28日付けでPINK FLOYDとしては全米チャートで初の1位を獲得、またBillboard200に15年間(741週連続)にわたってランクインし続け、さらに発売後2年を経過したアルバムのみのチャートであるカタログチャートでは30年以上(1630週以上)に渡ってランクインするというロングセラーの記録を打ち立てた歴史的アルバムで現在も記録を更新中です。このため 「年代を問わない 20世紀が生んだ文化作品」とも呼ばれています。世界中での売り上げ枚数はおそらく世界一で、統計上では誰かが常にこのアルバムを聴いており、イギリスでは5軒に1軒はこのアルバムを所有していることになると言われています。

アルバムジャケットはヒプノシス(Hipgnosis)によるもので 非常に印象深く、ロック史上 最高傑作の一つと評価されています。

このアルバムは すべての人間の内面に潜む「狂気―The Dark Side Of The Moon」をテーマにしたコンセプトアルバムです。しかし 単なるコンセプトアルバムというわけではなく 「この世で最も完璧なアルバムで アルバム1枚を使ってロック音楽を芸術の域まで高めた」という最高の評価もある、プログレッシブ・ロックというジャンルを超えたロック史に残る不朽の名作です。

このアルバム以降、サウンド面ではDavid Gilmourのセンスが反映されているものの、Roger Watersが全作詞を手掛けるようになったことからバンド内での曲作りのバランスに大きな変化が生まれました。この点でこのアルバムは重大な意味を持つ作品となりました。人間の内面に潜む「狂気―The Dark Side Of The Moon」を描き出すというコンセプトを考案したのもWatersとされています。

この作品はアルバムの最初から最後まで 曲と曲がメドレーでつながり、複数の曲をあたかも1つの作品のようにすることで 人間の一生を輪廻転生するがごとく描いています。Watersによる哲学的な歌詞に加え、それを際立たせる立体的な音作りで完成度の高い作品が出来上がっています。特に笑い声、会話、爆発音、時計の音、レジスターの音、心臓の鼓動音などが効果音として随所に使われていることが本作品の特徴です。
Watersの詞の内容は難解で日本人には分かりにくいので 本作品を聴く場合はサウンド中心になってしまいがちです。なんと言ってもPink Floydのサウンドの中心はGilmour のギターです。この作品では以前の作品に比べてギターの音のdistorsionが強くなり、ブルース色を強く感じさせるものとなっています。

収録曲

1. Speak To Me : Nick Mason のドラムで作った心臓の鼓動音の効果音

2. Breathe : ベースの心地よいリズムにGilmour のスライドギターがからみ、何とも言えない浮遊 感を生み出しています。成長することは死に近づくということという不吉な歌詞によって導かれる狂気の世界が始まります。

3. On The Run : 焦燥感をあおるようなシンセサイザーの音を使った曲

4. Time ~Breathe : 時計が一斉に鳴り出す効果音に驚かされます。さらにGilmour のギターソロと女性バックコーラスが素晴らしいBreatheへと続きます。

5. The Great Gig In The Sky―虚空のスキャット : 前半のクライマックスとなる曲で、女性ヴォーカルのスキャットが素晴らしい官能的な曲です。

6. Money : 出だしのベース・リフとキャッシュレジスターの効果音が有名な曲です。サックス・ソロとギター・ソロがともに素晴らしい出来です。

7. Us And Them : 強い浮遊感と高揚感が押し寄せて来て 圧倒されます。

8. Any Color You Like : 後半のクライマックス前のシンセサイザー中心の曲です。

9. Brain Damage : 狂気は誰の心にも存在するという詞を歌い上げています。バックの女性コーラスが実に素晴らしく、不気味さを演出しています。

10. Eclipse-狂気日食 : 圧巻のラストナンバーで 歌詞がすべてです。


(収録曲)上下対訳になっています。

?Dark Side of the Moon
?狂気
A side
1.a) Speak to Me (Mason)[Instrumental]
スピーク・トウ・ミー
1.b) Breathe in the Air?(Waters,Wright,Gilmour)

Breathe, breathe in the air
Don’ t be afraid to care
Leave but don’t leave me
Look around and chose your own ground
For long you live and high you fly
And smiles you’ll give and tears you’ll cry
And all you touch and all you see
Is all your life will ever be
Run, run rabbit run
Dig that hole, forget the sun,
And when at last the work is done
Don’t sit down it’s time to start another one
For long you live and high you fly
But only if you ride the tide
And balanced on the biggest wave
You race toward an early grave.(3:57)

生命の息吹き

吸いこめ 空気を吸いこむのだ
恐れずに 自らの存在を認めるのだ
いくら逃れようとしても
私から逃れることなどできはしない
あたりを見渡し 自らの居場所を選ぶのだ
生きている限り おまえは高く飛びながら
喜びの笑いを浮かべ 悲しみの涙を流す
おまえの触れるもの そして見るものすべてが
おまえの人生そのものなのだ

走れ 臆病なウサギよ 走るのだ
照りつける太陽も忘れ 穴を掘りつづけるのだ
掘り終えても 腰をおろして休んでいてはいけない
すぐに次の穴を掘りはじめるのだ
生きている限り おまえは高く飛びつづける
もし 押しよせる波にうまく乗ることができ
一番大きな波にその身を任せたとしても
その行く先はおまえを待ちうける墓場の入口だ

2. On the Run?(Waters,Wright,Gilmour)?[Instrumental] (3:31)
走り回って
3. Time?(Waters,Wright,Gilmour)

Ticking away the moments that make up a dull day
You fritter and waste the hours in an off-hand way
Kicking around on a piece of ground in your home town
Waiting for someone or something to show you the way
Tired of lying in the sunshine staying home to watch the rain
You are young and life is long and there is time to kill today
And then the one day you find ten years have got behind you
No one told you when to run, you missed the starting gun
And you run and you run to catch up with the sun, but it’s sinking
And racing around to come up behind you again
The sun is the same in the relative way, but you’re older
And shorter of breath and one day closer to death
Every year is getting shorter, never seem to find the time
Plans that either come to naught or half a page of scribbled lines
Hanging on in quiet desparation in the English way
The time is gone the song is over, thought I’d something more to say
Home, home againBreathe – RepriseI like to be there when I can
When I come in cold and tired
It’s good to warm my bones beside the fire
Far away across the field
The tolling of the iron bell
Calls the faithful to their knees
To hear the softly spoken magic spells.
(7:05)

タイム

倦怠にまみれた一日を刻む時計の音
おまえはただ無雑作に時を浪費していくだけ
故郷のちっぽけな土地から出ようともせず
手をひいて導いてくれる誰かか何かを待つだけ

陽だまりの中で寝そべることに飽き飽きして
家の中から降りしきる雨を眺める毎日
若いおまえにとって人生は長く
どんなに無駄に使ってもあり余るほどだ
だが ある日おまえは
10年があっという間に過ぎ去ったことに気づく
いつ走りだせばいいのか 誰も教えてはくれない
そう おまえは出発の合図を見逃したのだ

太陽に追いつこうと おまえはひたすら走る
だが太陽は沈んだかと思うと
やがて おまえの背後から再び姿を現す
相対的に見れば太陽はいつまでも変らず
おまえだけがそうして年老いていく
息切れはますます激しく
おまえは刻一刻と死に近づいていく

歳月は年一年と矢のように過ぎ去り
おまえは息をつく暇もない
おまえの企みはすべて失敗に終り
残ったものはかきなぐった予定表だけ
そして おまえは英国人らしく
ひそかな絶望に身をゆだねていく
時は過ぎゆき 歌もいつしか終りを迎える
もっといいたいことがあったはずなのに……

プリーズ(リプライズ)
我が家 懐かしい我が家にまた戻ってきた
できることなら いつもここにいたい
寒さと疲労とともに帰宅すると
暖炉の傍で体中の骨を暖めるんだ
野原のはるか後方から
鋼鉄の鐘の響きが聞こえてくる
あたかも ひざまづく信者たちに
優しく妖しげな魔法の呪文を囁くかのように

4. 4. The Great Gig in the Sky?(Wright)?[Instrumental] (4:47)
虚空のスキャット
B side
1. Money?(Waters)

Money, get away
Get a good job with more pay and your O.K.
Money it’s a gas
Grab that cash with both hands and make a stash
New car, caviar, four star daydream,
Think I’ll buy me a football team
Money get back
I’m all right Jack keep your hands off my stack.
Money it’s a hit
Don’t give me that do goody good bullshit
I’m in the hi-fidelity first class traveling set
And I think I need a Lear jet
Money it’s a crime
Share it fairly but don’t take a slice of my pie
Money so they say
Is the root of all evil today
But if you ask for a rise it’s no surprise that they’re
giving none away”HuHuh! I was in the right!”
“Yes, absolutely in the right!”
“I certainly was in the right!”
“You was definitely in the right. That geezer was cruising for a bruising!”
“Yeah!”
“Why does anyone do anything?”
“I don’t know, I was really drunk at the time!”
“I was just telling him, he couldn’t get into number 2. He was asking
why he wasn’t coming up on freely, after I was yelling and
screaming and telling him why he wasn’t coming up on freely.
It came as a heavy blow, but we sorted the matter out”

マネー

金 たんまり持って逃げるのさ
もっと金になるいい仕事につけば すべて0.K.
金 こいつは最高だぜ
現ナマは両手でしっかり握っておくのさ
新品の車 キャビア ー流ホテルでの白昼夢
フットボールのチームでも買ってやろうか

金 たんまり戻ってくるのさ
おっと ジャック 俺の金に触るなよ
金 こいつは大当たりさ
俺にケチなものなんか押しつけないでくれ
俺は安全確実なファースト・クラスの客人さ
自家用ジェットでも買おうかと思ってる

金 こいつは罪なものさ
平等に分けようぜ
だけど 俺の取り分には手をつけないでくれ
金 こいつはみんなのいう通り
諸悪の根源なのさ
賃上げを要求してみても
そう簡単には通らない世の中さ (6:23)

2. Us and Them?(Waters,Wright)

Us and Them
And after all we’re only ordinary men
Me, and you
God only knows it’s not what we would choose to do
Forward he cried from the rear
and the front rank died
And the General sat, as the lines on the map
moved from side to side
Black and Blue
And who knows which is which and who is who
Up and Down
And in the end it’s only round and round and round
Haven’t you heard it’s a battle of words
the poster bearer cried
Listen son, said the man with the gun
There’s room for you inside
Down and Out
It can’t be helped but there’s a lot of it about
With, without
And who’ll deny that’s what the fightings all about
Get out of the way, it’s a busy day
And I’ve got things on my mind
For want of the price of tea and a slice
The old man died
(7:48)

アス・アンド・ゼム

僕たち そして 彼ら
とどのつまり 僕らはごく普通の人間さ
僕 そして きみ
僕らが人間として誤った道を選んだことを
神だけが知っている
背後から“前進!”と叫ぶ声に
前列部隊は次々と倒れていった
将軍は椅子に腰を据え
地図の上の境界線の動きを目で追っていた
黒 そして 青
その違いを誰が識別できるというのか
前進しては また後戻り
結局 最後には堂々めぐりで終っていく
“それは言葉のもつれから始まった戦い”と
ポスター貼りが悲痛に叫ぶ一方
銃を持った男が呼びかける
“わが息子よ
この戦いに加わって勇気と力を発揮したまえ”

傷ついては死んでいく人々
繰り返されるこの惨事を止めることは
誰にもできないのか
なぜ 敵味方に分かれるのか
それが争いの原因であることは
誰にも否定できないというのに‥‥‥
道をあけてくれ 今日は忙しいー日だ
気にかかっていることが山ほどあるんだ
一片のパンと茶代が欲しいために
一人の老人が死んでいったという

3. Any Colour You Like?(Wright,Gilmour,Mason)?[Instrumental] (3:25)
望みの色を
4. Brain Damage?(Waters)

The lunatic is on the grass
The lunatic is on the grass
Remembering games and daisy chains and laughs
Got to keep the loonies on the path
The lunatic is in the hall
The lunatics are in my hall
The paper holds their folded faces to the floor
And every day the paper boy brings more
And if the dam breaks open many years too soon
And if there is no room upon the hill
And if your head explodes with dark forbodings too
I’ll see you on the dark side of the moon
The lunatic is in my head
The lunatic is in my head
You raise the blade, you make the change
You re-arrange me ‘till I’m sane
You lock the door
And throw away the key
There’s someone in my head but it’s not me.
And if the cloud bursts, thunder in your ear
You shout and no one seems to hear
And if the band you’re in starts playing different tunes
I’ll see you on the dark side of the moon”I can’t think of anything
to say except…
I think it’s marvellous! HaHaHa!”(3:50)

狂人は心に

狂気は 今 野原に
狂気は 今 野原に
楽しく遊んだゲーム ひな菊の花輪
笑い声を回想しながら
狂気は小路にその思いを馳せる

狂気は 今 広間に
その数を増やしながら 今 僕の広間に
新聞が床の上に折りまがった顔をくっつけている
それでも新聞配達の少年は
毎日 新聞を放り投げていく

ダムが幾度となく歳月を押し流し
あの丘の上にも住み家がなくなり
お前の頭が暗い予感に破裂した時

お前は狂気の世界に自分を見いだすのだ

狂気は 今 僕の頭の中に
狂気は 今 僕の頭の中に
お前はカミソリの刃を手に持ち
僕の正気を取り戻そうと切り刻んでいく

お前は僕の心の扉に錠をおろし
その鍵を捨ててしまった
僕の頭の中に誰かがいる 僕以外の誰かが‥‥‥

雲が闇を切り裂き 雷鳴がとどろく
お前の恐怖の叫びを聞くものは誰もいない
バンドの仲間が様々な不協和音を奏で始める時
お前は狂気の世界に自分を見いだすのだ

5. Eclipse?(Waters)

All that you touch
All that you see
All that you taste
All that you feel
All that you love
All that you hate
All you distrust
All that you save
All that you give
All that you deal
All that you buy
beg, borrow or steal
All you create
All you destroy
All that you do
All that you say
All that you eat
everyone you meet
All that you slight
everyone you fight
All that is now
All that is gone
All that’s to come
and everything under the sun is in tune
but the sun is eclipsed by the moon.

狂気日食

手に触れるものすべて
眼に映るものすべて
舌で味わうものすべて
五感に感じるものすべて
愛しむものすべて
忌み嫌うものすべて
不信を抱くものすべて
育み守るものすべて
捧げるものすべて
分け与えるものすべて
買い求めるものすべて
哀願しまたは借用し または盗んだものすべて
創造するものすべて
破壊するものすべて
行為のすべて
言語のすべて
口に食するものすべて
巡りあう人間すべて
軽んじるものすべて
争いをしむける人間すべて
現在にあるものすべて
過去に埋れていったものすべて
未来にくるべきものすべて
あの太陽の下 すべては調和を保っている
だが その太陽は徐々に月に侵蝕されていく

対訳:山本安見

PINK FLOYD LIVE AT POMPEII ( PINK FLOYD )

live-at-pompeii

PINK FLOYD LIVE AT POMPEII ( PINK FLOYD ) / 1972年9月公開

PINK FLOYD LIVE AT POMPEII はPINK FLOYD のライブを収録した映像ドキュメンタリーです。一般のライブと異なり、PINK FLOYDのライブ・ドキュメンタリー作成目的にイタリアのPompeii にある遺跡で無人の観客という状況で行われたライブです。監督のArrian Maben によるとこの映像盤は ライブ盤と言われているが、実はPINK FLOYDの演奏する姿を描きつつ、一つの世界観を描いた映画といってよい作品なのだそうです。

1972年9月に一般公開されましたが、日本では1973年にNHKの番組「ヤング・ミュージック・ショー」で放映され話題になりました。LD,VHS,DVD は発売されていますが、CDは公式には発売されていません。

この映画ではバンドの当時の新曲「Echoes」の前半と後半を分けてコンサートのオープニングを「Echoes Part 1」として幕を開けました。その後、「Careful With That Axe Eugene」「A Saucerful Of Secrets」「Us And Them」「One Of These Days」「Mademoiselle Nobs」「Brain Damage」「Set The Controls For Heart Of The Sun」が演奏され、最後を「Echoes Part 2」で締めくくっています。この作品ではDavid Gilmourのギターを中心とした彼らの初期の演奏の完成された形を見ることができます。

ライブ会場をPompeii に選んだというのは大正解だったと思われます。古代遺跡の持つ神秘性とProgressive Rock と言われた彼らの音楽の先進性が映像を通して見事に合致しています。

pink-floyd-live-at-pompeii-the-directors-cut-pink-floyd-5636004-608-352

撮影されたのは1971年10月。約2000年前に建立された円形劇場が舞台となった

pompeii2

MEDDLE – おせっかい ( PINK FLOYD )

pink-floyd-meddle-1 pink-floyd-meddle-2
MEDDLE – おせっかい ( PINK FLOYD ) / 1971年11月発売

MEDDLE(おせっかい)は前作のATOM HEART MOTHER(原子心母)からちょうど1年後の1971年11月に発売されたPINK FLOYD にとって7枚目のアルバムです。アルバム・ジャケットは前作同様ヒプノシス(Hipgnosis) が手掛けています。公式の発表がないのでよくわかりませんが、裏ジャケットにある巨大な耳と表ジャケットの波紋が最後の曲「Echoes」のイメージを表しているとする解釈もあります。

本アルバムはSyd Barrett 脱退後、初めてバンドのみの手によって作り上げられた完全なオリジナル作品です(前作はRon Geesinがアレンジを担当)。わずか1年前に発表された壮大な組曲「ATOM HEART MOTHER」と同じ組曲「Echoes」を含んだこのアルバムの成功で彼らの人気は決定付けられました。本作品は前作のAB面を逆にしたような構成になっていますが、前作で行ったようなオーケストラとの競演をやめ、録音技術を駆使してロックバンドのみでできる最高の音つくりを目指したことが特徴です。その点でサウンドのダイナミックスさは前作よりもシンプルになってしまいましたが、詩的なイメージはさらに広がり、ボーカルや演奏自体はさらに奥深くなったと感じられます。

前半のメインは1曲目の日本でも大ヒットし、アブドラ―・ザ・ブッチャーの入場テーマ曲にもなった「吹けよ風、呼べよ嵐ーOne Of These Days」です。PINK FLOYD らしい素晴らしい曲で、綿密に計算された録音テクニックの粋を集めて構成されています。特筆すべきは冒頭での不気味なベースによる効果音です。最後の「Echoes」でもそうですが、ベースによる効果音が実にうまく使われていて曲の神秘さを演出しているのがこのアルバムに見られる特徴です。

続く「A Pillow Of Winds」 から「Seamus」 までは前作のB面を構成していた曲と同類でアコースティック・サウンドを中心としたものですが、フォークっぽい曲、ブルージーな曲が多く聴けます。

そしてこのアルバムの大本命は23分27秒におよぶ超大作「Echoes」です。この作品は Progressive Rock の代表作ともいえる名作です。しかもこの作品には難解なところがなく、非常に分かりやすいというのが特徴です。この作品は4つか5つかのパートで成り立つ、いわゆる組曲で前作「ATOM HEART MOTHER」の流れを組むものと考えてよいでしょう。自然の音、電子楽器による効果音のパート、ボーカルのパート、ギター・キーボードが中心となる演奏のパートが組み合わされて1つの壮大な組曲が構成されています。前作でも見られましたが、作品全体に漂う何とも言えない「浮遊感」が聴く人にとって非常に心地よく、23分はあっという間に過ぎてしまいます。

この「浮遊感」を感じさせるサウンドのの最大の主役はDavid Gilmour の弾くFender Stratocaster で、 このアルバム以降のPINK FLOYD のアルバムではGilmour のギターが彼らのサウンドの中心となりました。

そして名曲「Echoes」の誕生が次の名盤「THE DARK SIDE OF THE MOON -狂気」へとつながっていきます。

ATOM HEART MOTHER-原子心母 ( PINK FLOYD )

atom-heart

ATOM HEART MOTHER ( PINK FLOYD ) / 1970年10月発売

PINK FLOYD(ピンク・フロイド)は、イギリス出身のロック・バンドです。彼らの前身は 1965年、Roger Waters, Richard Wright, Nick Mason らが結成したバンドで その後 PINK FLOYD と改名し、Syd Barrett が加入してから本格的な音楽活動に入りました。しかし Syd の薬物依存によるバンド脱退後 David Gilmour が加入してからが 黄金期と言われています。
彼らはサイケデリック・ロックやブルース、フォークを織り交ぜた壮大で幻想的な独特のサウンドを創り出し、大掛かりな仕掛けでライトショーといわれる視覚と聴覚に訴えるライブを行い、哲学、政治、文学的な歌詞で世界的に人気を博しました。いわゆる Progressive Rock の代表格として扱われるバンドです。

代表作である「THE DARK SIDE OF THE MOON-狂気」は 5,000万枚、「THE WALL」は 3,000万枚、「WISH YOU WERE HERE」は 2,300万枚というセールスを記録し、2012年で総売り上げは2億3000万枚と商業的にも大成功を収め、今だに売れ続けています。

「原子心母、原題 ATOM HEART MOTHER 」は 1970年に発表された PINK FLOYD のスタジオ録音アルバムで ロンドンのあの有名なAbbey Road スタジオで録音されました。1968年に結成されたイギリスのデザイン・グループであるヒプノシス( Hipgnosis ) による牛のジャケットも有名です。このアルバムは Progressive Rock を代表する名盤とされ、全英初登場1位、全米55位を記録するなど各国でヒットしました。その要因として Syd Barrett が在籍中の彼らのアルバムはアンダーグラウンド的で難解な作品が多かったのが、彼の脱退後、 David Gilmour が加入し 分かりやすく 聴きやすい内容になったことが考えられます。
表題曲の「原子心母」は23分を超える大作で ストリングスやブラスバンド、コーラス隊などを大胆に使った作品です。原題の「ATOM HEART MOTHER」は原子力駆動の心臓ペースメーカーを体内に埋め込んだ女性の新聞記事「Nuclear drive for woman’s heart 」から取られたものとされています。制作は困難を極めたため メンバー4人だけでなく Roger Waters の知人の Ron Geesin がアレンジを担当しています。アルバムにはこの曲の他にもバンドのメンバーによる書き下ろし曲と全員による共作も収録され、こちらも結構良い出来なのですが「原子心母」が大作すぎて あまり話題にならないのは残念です。
この時代 Progressive Rock 界において クラシック音楽とロックの融合を試みるのが流行で、最も成功したのが EMERSON LAKE & PALMER の「展覧会の絵」とPINK FLOYD の「原子心母」であったと言われています。

「原子心母」を初めて聴いた時の衝撃は忘れられません。最初はオーケストラの音出しのリハーサルを思わせる出だしから始まり、やがて意味もなくバイクの爆音が右チャンネルから左チャンネルへと駆け抜けた後、原子心母の美しいテーマ・メロディーをバイオリンとWright のキーボードが奏でます。この部分のキーボード演奏は実に上手く、効果的です。全編にわたり コーラスは入るものの ボーカルはありません。オーケストラ、コーラス、ギター、キーボードが入り混じって 盛り上がりを繰り返しながら 最後に壮大なフィナーレを迎えます。もうこれは現代のクラシック音楽と言ってよいかもしれません。
この作品全体を通して 重要な特徴は 聴く人の気分をリラックスさせてくれる「浮遊感」が常に感じられることです。先に紹介した KING CRIMSON の作品でも独特の浮遊感を感じることが出来ましたが、それはメロトロンという楽器によるものでした。しかし この「原子心母」で感じられる浮遊感の秘密はDavid Gilmour の巧みなギター・プレーにあります。彼は Fender Stratocaster の使い手として有名ですが、トレモロを効かせた 歪のない高音の澄み切った音は 現在の様にeffector の発達していなかった1970年当時ではStratocaster でしか出せませんでした。彼のギター・プレーはスペース感、つまり宙に浮いている様な感覚をもたらす独特のもので、さらにRichard Wright? のキーボードも加わって 誰もまねの出来ない音響空間が創り上げられました。彼らがこのアルバムで創り上げた音は後のアルバムにも引き継がれ、その後 PINK FLOYDは現在まで40年以上にわたって Progressive Rock界におけるゆるぎない地位を確立しました。

2010年の「ローリング・ストーン誌が選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」においてPINK FLOYD は第51位です。

pink-floyd

PINK FLOYD ( 左から R.Wright, D.Gilmour, N.Mason, R.Waters )

pink-floyd-live

ライトショーと言われた PINK FLOYD のライブ

ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト(2010年)

1. The Beatles
2. Bob Dylan
3. Elvis Presley
4. The Rolling Stones
5. Chuck Berry
6. Jimi Hendrix
7. James Brown
8. Little Richard
9. Aretha Franklin
10. Ray Charles
11. Bob Marley
12. Beach Boys
13. Buddy Holly
14. Led Zeppelin
15. Stevie Wonder
16. Sam Cooke
17. Muddy Waters
18. Marvin Gaye
19. The Velvet Underground
20. Bo Diddley
21. Otis Reading
22. U2
23. Bruce Springsteen
24. Jerry Lee Lewis
25. Fats Domino
26. The Ramones
27. Prince
28. The Clash
29. The Who
30. Nirvana
31. Johnny Cash
32. Smokey Robinson and the Miracles
33. The Everly Brothers
34. Neil Young
35. Michael Jackson
36. Madonna
37. Roy Orbison
38. John Lennon
39. David Bowie
40. Simon and Garfunkel
41. The Doors
42. Van Morrison
43. Sly and the Family Stone
44. Public Enemy
45. The Byrds
46. Janis Joplin
47. Patti Smith
48. Run-DMC
49. Elton John
50. The Band
51. Pink Floyd
52. Queen
53. The Allman Brothers Band
54. Howlin’ Wolf
55. Eric Clapton
56. Dr. Dre
57. Grateful Dead
58. Parliament and Funkadelic
59. Aerosmith
60. The Sex Pistols
61. Metallica
62. Joni Mitchell
63. Tina Turner
64. Phil Spector
65. The Kinks
66. Al Green
67. Cream
68. The Temptations
69. Jackie Wilson
70. The Police
71. Frank Zappa
72. AC/DC
73. Radiohead
74. Hank Williams
75. Eagles
76. The Shirelles
77. Beastie Boys
78. The Stooges
79 The Four Tops
80. Elvis Costello
81. The Drifters
82. Creedence Clearwater Revival
83. Eminem
84. James Taylor
85. Black Sabbath
86. Tupac Shakur
87. Gram Parsons
88. Jay-Z
89. The Yardbirds
90. Carlos Santana
91. Tom Petty
92. Guns n’ Roses
93. Booker T. and the MGs
94. Nine Inch Nails
95. Lynyrd Skynyrd
96. Diana Ross and the Supremes
97. R.E.M.
98. Curtis Mayfield
99. Carl Perkins
100. Talking Heads

PICTURES AT AN EXHIBITIONー展覧会の絵 ( EMERSON, LAKE & PALMER )

elp

PICTURES AT AN EXHIBITION ( E,L&P ) / 1971年11月発売

emersonlakepalmer_album

EMERSON, LAKE & PALMER

EMERSON, LAKE & PALMER ( ELP ) は Keith Emerson (Key), Greg Lake (Bass), Carl Palmer (Drum) の3人が結成した progressive rock に分類されるイギリスのバンドです。彼らが1970~71年にかけて EMERSON LAKE&PALMER, TARKUS という2枚のアルバムを発表した後に、1971年末に発表したのが ライブ盤であるこの PICTURES AT AN EXHIBITION(展覧会の絵)です。

ロック・バンドが成立するためには ふつう 3 pieces つまり ギター、ベース、ドラムの3人が最低必要とされています。ところが このバンドにはギター・プレーヤーが存在せず(Lake が時々アコースティックギターを弾いていますが)、代わりにキーボード・プレーヤーが入ってキーボード、ベース、ドラムの 3 pieces 構成となっています。つまり ジャズ・バンド スタイルです。この時代のロックは派手なギター・リフを武器にギター、ベース、ドラムの達人が戦いを繰り広げるというのが常道で ロック・ギターの歪んだ音によって得られる「破壊的パワー」は必須のものでした。ギター不在のロックバンドで当時成功を収めたのはこのバンド以外には思い浮かびません。それくらいロック・バンドにとってギター・プレーヤーというのは重要な存在だったのです。

ギター不在の場合、必然的にキーボードがメロディー、ソロ、ハーモニー等のサウンドの上層部全般を担う必要が出てきますが ELP の場合、キーボードのKeith Emerson が卓越した技量でムーグ・シンセサイザーやハモンドオルガンを演奏してこの役割を果たし、さらにベースのGreg Lake がワウやファズ・トーンをかけた目立つベース・ラインやベース・ソロを弾くことでギター・パートを補い、そしてCarl Palmer の著しく手数が多く 歯切れがよいドラムのおかげでギターがあるのと同じ迫力の演奏を行っています。

Keith Emerson の最大の功績はムーグ(正確にはモーグと発音)・シンセサイザー(Moog Synthesizer)の魅力を世界中に知らしめ、その発展の立役者となったことです。それ以前にもTHE BEATLES が1969年発売のアルバムABBEY ROAD の中でムーグ・シンセサイザーを使用して知名度を高めましたが、Keith Emersonは さらにムーグ・シンセサイザーが楽器として無限の可能性を秘めていることに気付いていたのです。彼があそこまで使用していなかったら楽器メーカーも開発しなかったかもしれません。

ムーグ・シンセサイザーは ELP の代名詞とまで言われていますが、演奏の主役はdistortion を効かせたハモンド・オルガンとピアノで、 クラシックとジャズからの影響を多く受けた?Keith Emerson?のプレイは当時のロック界では天才と評価され、要所要所で聴かせてくれるシンセサイザーの音色は当時のprogressive rock に大きな影響を与えたと言われています。

このアルバムの原曲は19世紀のロシアの作曲家ムソルグスキーのピアノ組曲「展覧会の絵」です。このELP バージョンは管弦楽用に Maurice Ravel が編曲したバージョンを手本にしています。但し、そっくりそのままコピーするのではなく、組曲の中からの抜粋でありオリジナル曲を編入したり、新たに歌詞を加えたりしています。

アルバムの始まりはKeith Emerson?のハモンド・オルガンがロック色を強く押し出す有名な「Promenade-プロムナード」です。この中では舞台となった Newcastle City Hall に1928年に設置されたHarrison & Harrison pipe organ も使用されて荘厳な雰囲気を創り出しています。「The Gnome-こびと」を経て再度「Promenade」。そしてGreg Lake のオリジナルとなる静かで落ち着いた曲「The Sage-賢人」、ここではLakeのすばらしいアコースティック・ギターに乗って彼の力強いボーカルが聴けます。このあたりは Lake がかつて在籍したKING CRIMSONが思い出させられます。そして静けさの中に突然シンセサイザーの甲高い音が響き渡るというEmerson の天才的な演奏が展開する「Blues Variation」が始まります。Lake のベースとPalmer の力強いドラムが絡み合い 完全なロックです。
そして 再々度「Promenade」が始まります。Carl Palmer のドラムが素晴らしく 一番迫力のある「Promenade」です。続いて「The Hut of Baba Yaga-バーバヤーガの小屋」 「The Curse of Baba Yaga-バーバヤーガの呪い」ですが、クラシックを感じさせるものはあまりなく 完全なロックと言ってもよく、シンセサイザーとベースとドラムの競演です。
最後のハイラ イトが「The Great Gates of Kiev-キエフの大門」です。Lakeの力強いボーカルに加えてPalmer のドラムがこの大作を極限まで盛り上げています。

このライブの模様は1972年10月8日のNHK Young Music Show で放送され、Keith? Emersonがナイフをオルガンに突き立てるシーンが有名になりました。キーボードにナイフを突き立てるという演出(鍵盤を押しっぱなしの状態にして、手を離しても音を出すことができる)は、Keith Emerson 独特のステージ・アクションとなりました。

アンコールは「Nutrocker」でTchaikovsky の「くるみ割り人形」の1曲である「行進曲」をロックにアレンジしたものです。歯切れ良いKeith Emerson のキーボードが冴えわたるすばらしい演奏です。日本ではこのアルバムからこの曲(A)とキエフの大門(B)がシングルカットされました。

EMERSON, LAKE & PALMER?はKING CRIMSON, YES, PINK FLOYD と並んで「プログレ四天王」と呼ばれていました。これらのバンドに共通するのは圧倒的なそ演奏能力の高さで 演奏の完璧さは時に天才的と言っても良いほどです。そのような甲乙つけがたいグループの中にあってクラシック音楽を独自の解釈でロック(progressive)にアレンジした彼らの底力を反映したのが「PICTURES AT AN EXHIBITION-展覧会の絵」という名盤だと思われます。

keith-emerson

オルガンの上に飛び乗りナイフを突き立てるKeith Emerson

EVERY GOOD BOY DESERVES FAVOUR ―童夢 ( THE MOODY BLUES )

moody-blues

EVERY GOOD BOY DESERVES FAVOUR-童夢 ( THE MOODY BLUES ) / 1971年1月発売

THE MOODY BLUES は1964年にデビューしたイギリスのProgressive Rock バンドで 世代的にはBEATLESやTHE ROLLING STONES, THE WHO などと ほとんど変わらずロック黎明期に誕生したバンドの一つです。
バンドは John Lodge とJustin Hayward が加入してからメロトロンやシンセサイザーなどの電子楽器を駆使してProgressive な色彩をいっそう強めました。1967年発表の2nd アルバム「DAYS OF FUTURE PAST」では 1960年代の段階でオーケストラとの共演を行って新しいロックのスタイルを築き上げるなど Progressive Rock というジャンルを生み出した草分け的バンドの一つであったと言えます。その後は1968年「IN SEARCH OF THE LOST CHORD―失われたコードを求めて」、1969年「ON THRESHOLD OF A DREAM―夢幻」「TO OUR CHILDREN’S CHILDREN’S CHILDREN―子供たちの子供たちの子供たちへ」といったほとんどのアルバムが英米で大ヒットを記録し、PINK FLOYD, KING CRIMSON, YES, EMERSON LAKE & PALMERなどと共に1960~70年代のProgressive Rock Movement を支えたとされています。かつて LED ZEPPELIN のJimmy Pageは本当にProgressive なバンドはPINK FLOYD と THE MOODY BLUES だけだと述べています。

このような経歴をもつ彼らが1971年に発表したのが「EVERY GOOD BOY DESERVES FAVOUR―童夢」でした。それまでの彼らのアルバムは歌詞に重点が置かれていたため 日本人には理解されずあまり評価されませんでした。しかし このアルバムでは音の構成やメロディーも重視しているので、日本人にもわかりやすくなり、その結果 日本ではこのアルバムから彼らの評価が急に高まりました。

このアルバムは神秘的なジャケットが実に素晴らしく、壁に飾りたくなってしまいます。先のIN THE COURT OF THE CRIMSON KING のジャケットと同じくロックの歴史に残るジャケットと言えるでしょう。
このアルバムはProgressive Rock の世界では5本の指に入る大傑作だと断言できます。私も何回聴いたか覚えていませんが、不思議なことに何回聴いても飽きのこないアルバムです。アルバムの邦題「童夢」は原題の直訳ではないのですが、ジャケットの雰囲気や曲の印象を実に良く表している名訳と言えます。このアルバムは彼らの最高傑作と言われているだけに 捨て曲なしで どの曲も牧歌的で美しいコーラスとメロトロンに包まれた荘厳な世界を創り出しています。

1 曲目のProcession はシンセサイザーのフレーズで始まる いかにもProgressive Rock と言える曲です。「Desolation」「Creation」「Communication」の3 語のみの歌詞でシタールやメロトロンを使って荘厳な雰囲気を出し、この3 語を使ってこのアルバムのメッセージを聴く人に投げかけているようです。2 曲目の The Story in Your Eyes はこのアルバムの中で最もメロディアスで素晴らしい曲ですが、イントロの distortion の効いたギター・リフを聴くとProgressive Rock というよりノリのよいスピード感のあるClassic Rock と言えるでしょう。中程でのメロトロンによるコーラス、オーケストレーションが実に壮大で最大の山場を作っています。また途中に入るギター・ソロも素晴らしい出来です。
「After You Came」「Emily’s Song」「One More Time to Live」なども素晴らしい曲で、なかでも「Emily’s Song」はメロトロンのオーケストレーションが中心の浮遊感のある心休まるフレーズが聴ける曲です。
最後の「My Song」は「童夢」というタイトルどうりの子供の心が捉えた風景をそのまま具体化した様な物語性を持つ名曲です。キーボード、フルート、メロトロンなどによってどこか郷愁を感じさせるメロディーが静かに奏でられたかと思うとIN THE COURT OF THE CRIMSON KING の様にドラムの突然の盛り上がりと共にメロトロンによる壮大な交響曲の展開となり 「これこそProgressive Rock!」 と納得させられる 本アルバム中、最大のスケールを感じさせる曲です。

KING CRIMSON がそうであったようにTHE MOODY BLUES も メロトロンなどの楽器を用いた高度な演奏テクニックに頼るばかりでなく、歌詞に重みをおき、難解な歌詞で歌の心を表現しようとしていると言えますが、これがこの時代のProgressive Rock バンドの特徴でしょう。

IN THE COURT OF THE CRIMSON KING ( KING CRIMSON )

the-court-of-the-crimson-king

IN THE COURT OF THE CRIMSON KING ( KING CRIMSON ) / 1969年10月発売

 

king-crimson-1969

KING CRIMSON ?( 1969 年 )

これまで紹介して来たアルバムは 1960年代後半から1970年代前半にかけて ブールスを基盤とし、鳥肌の立つようなギター・リフを武器に 大観衆のいるライブ会場で大音量で押しまくる Classic Rock という分類に入る音楽でした。その最たるものが CREAM であり、その後 世界を制覇した LED ZEPPELIN でした。

ところが THE BEATLES が アルバム ABBEY ROAD をリリースした1960年代末期には 英国の片隅でサイケデリック・ムーブメントの中からプログレッシブ・ロック( Progressive Rock ) と言われる独創的な音楽を追求する先進的な MOODY BLUES, PINK FLOYD, KING CRIMSON といったバンドが生まれました。これからしばらく これらのバンドが生み出した傑作アルバムを紹介しましょう。なかでも クラシックやジャズの要素を巧みにとりいれ、深遠なProgressive Rock の世界を構築した KING CRIMSON はデビュー・アルバム「In The Court Of The Crimson King」で世間を唸らせ確固たる地位を確立したばかりでなく、その後のロック史にも多大な影響を与えました。
これらのバンドの影響でProgressive Rock は70年代前半に隆盛を極め、ジャズ、クラシック、ブルースとすべてを取り入れて 高尚な主題と卓越したテクニック、難解で知的な歌詞で 労働階級のものとされていたロックを上流階級まで広める働きをしました。

KING CRIMSON というバンドの歴史はかなり長く、ギターのRobert Fripp がリーダーで不動のメンバーでした。彼は概念を表現する方法として音楽を選び、思想を音で具体化したとされる音楽家と言われています。このバンドの歴史は1969年からRobert Fripp が音楽界からの引退を宣言した2011年までとされており、この間にバンドに在籍したメンバーは実に19人にものぼります。このためアルバムを聴き比べてみると 音楽性が多様でとても同じバンドの作品とは思えません。また在籍したメンバーも素晴らしい人が多く、その後 Emerson Lake & Palmer や YES といった著名なバンドも生まれました。

デビュー・アルバムの「In The Court Of The Crimson King」は ギターのRobert Fripp, ボーカルとベースのGreg Lake, キーボードやサックスをはじめとするマルチ・プレーヤーで主に作曲担当のIan McDonald, ドラムのMichael Giles, そして作詞担当のPete Sinfield というメンバーで作られました。しかし この黄金のメンバーで作られたのはこの1枚のみでした。
このアルバムはロックの歴史に残る名盤だと断言できますが、この他のアルバムは難解な曲や詞が多く、私にはよく理解できないし、良いとも思えません。

このアルバムの特徴はまず印象に残るジャケットでしょう。最近このような手の込んだジャケットを見ることが少なくなったのは残念です。
音楽的な一番の特徴は Ian McDonald によりメロトロンが導入され、オーケストラの様な壮大な雰囲気や時には心地よい浮遊感を創り出していることです。またサックスやフルートといった当時はあまりロック・バンドで使われることの多くなかった楽器を導入し、新たな音楽を創造したのも彼の功績です。さらに このアルバムのみの参加で その後 Emerson Lake & Palmer を結成したGreg Lake の深みのあるボーカルとベースの腕も見逃せない点です。
作詞専門という特殊なメンバーであるPete Sinfield の功績も大です。彼の詞はかなり難解ですが、ロックミュージックに壮大なスケールの世界観を持ちこみ バンドの方向性を決定付けたということで評価されています。

①21st Century Schizoid Man (21世紀の精神異常者)

異常者が正常で正常者が異常とみなされる未来社会を主題とした曲で ギターのリフを前面に押し出し、ボーカルにもdistortion をかけたヘビーな曲で この後に続く壮大な展開の曲を引き立たせるのに役立っています。ドラムのMichael Giles はジャズ畑の出身で中ほどで聴かれる彼のすさまじいプレイはまさにジャズ・ドラムです。

②I Talk To The Wind(風に語りて)

一転してメロディー・ラインの美しい曲で フルートを前面に出した英国のトラッドな雰囲気です。異常な未来社会において 話し相手は風しかいないと歌っています。

③Epitaph(墓碑銘)

前2曲で絶望的世界を歌いつつ、この曲で未来への光を歌っています。やや暗い曲調ですが、日本人好みの音階を含んでおり このアルバムの中では最も受け入れやすい曲です。メロトロンによるオーケストレーションが壮大な雰囲気を創り出しており、メロトロンを使った作品の中で最高傑作とされています。
作詞面では「Confusion will be my epitaph-混乱こそ我が墓碑銘」という一節はロック史に残るものとされています。
Greg Lake の声量ある澄み切ったボーカルもこの作品を素晴らしいものにするのに貢献しています。

④Moon Child

美しい曲で後半の8分間に眠気を誘う浮遊感のある演奏が延々と続きます。それが突然終わって最期の曲が始まる演出がアルバムの締めの曲を盛り上げるのになんともすばらしく役立っています。

⑤The Court Of The Crimson King(クリムゾン・キングの宮殿)

同名のアルバムの締めの曲として最高の出来の曲です。前曲が終わった後、突然のドラムのフィルインで始まり、メロトロンによる壮大なオーケストレーションが幕を開けます。ギター、ボーカルと展開して 静と動が繰り返し、ストーリーが展開して行きます。メロトロンによるオーケストレーションの音圧はすさまじく、この曲を限りなく壮大なものにしています。

このアルバムは圧倒的な演奏力、構成力、作曲力がうまくバランスされ、最初から最後まで一気に聴けてしまいます。
BS-TBS の番組「Song To Soul ~永遠の一曲」でこのアルバムが取り上げられており、Ian McDonald と Pete Sinfield が KING CRIMSON 誕生前後の状況やこのアルバム制作の秘話を語ってくれています。今後も再放送があるものと思います。

(訳詞)

EPITAPH

The wall on which the prophets wrote
Is cracking at the seams
Upon the instruments of death
The sunlight brightly gleams

When every man is torn apart
With nightmares and with dreams
Will no one lay the laurel wreath
When silence drowns the screams?

Confusion will be my epitaph
As I crawl a cracked and broken path
If we make it we can all sit back and laugh
But I fear tomorrow I’ll be crying
Yes, I fear tomorrow I’ll be crying

Between the iron gates of fate
The seeds of time were sown
And watered by the deeds of those
Who know and who are known

Knowledge is a deadly friend
When no one sets the rules
The fate of all mankind I see
Is in the hands of fools

Confusion will be my epitaph
As I crawl a cracked and broken path
If we make it we can all sit back and laugh
But I fear tomorrow I’ll be crying
Yes, I fear tomorrow I’ll be crying

予言をしたためた壁は
つなぎ目から崩れ落ち
死をもたらす武器の上
陽光は降り注ぐ
夢と悪夢に引き裂かれ
静寂が叫びを押し殺すとき
栄冠などありはしない

混乱こそ我が墓碑銘
ひび割れた小道を私は這う
なんとかなるというなら
笑って傍観してもいよう
だが私は明日を恐れ、泣き叫ぶ
明日を恐れ、泣き、叫ぶのだ

宿命の扉の狭間に
時間の種子は播かれ
知るものと知られるものが
それに水を撒く
だが掟をもたらす者なくば
知識とは厄災の友
人類の運命は愚か者の手中にある

混乱こそ我が墓碑銘
私は明日を恐れ、泣き叫ぶ
明日を恐れ、泣き、叫ぶのだ