ACPA(抗CCP抗体)陽性だが、無症状で関節リウマチを発症していない人はこれからどうなっていくのか?

 

ACPA(抗CCP抗体)は関節リウマチの診断に重要な役割を果たすことがわかっていますが、症状がなく関節リウマチを発症していないのにACPAが陽性の人がどのくらいの割合で将来関節リウマチを発症するかということは あまりわかっていませんでした。しかし2019年のArthritis Care & Researchに ACPA陽性だが関節リウマチを発症していない人が将来関節リウマチへ進行するリスクを調査した論文が掲載されました。この内容を紹介しましょう。

研究はアメリカ合衆国の2009年から2018年の3次医療システムのデータを用いて一定期間追跡調査が行われました。具体的には関節リウマチやその他のリウマチ性疾患がないACPA陽性の人を選び出し、ACPA陽性時の診療記録を調べました。関節リウマチへの進行・診断の時期は医療記録の内容から決定されました。そして関節リウマチへの進行のリスクを調べ、ACPAレベルで分類しました。

ACPAレベルは正常の上限の1~2倍を低レベル、2~3倍を中レベル、3倍以上を高レベルとしました。

関節リウマチを発症していない無症状のACPA陽性の対象 340人を追跡調査した結果、73人(21.5 %)が関節リウマチを発症していました。関節リウマチへの進行リスクはACPAレベルとともに増加し、高レベルのACPAを持つ人の 46 %は 5年で関節リウマチを発症していました。低レベルのACPAレベルと比較して 中および高ACPAレベルは関節リウマチの発症と強く関連していました。

以上のことから 関節リウマチを発症していない無症状のACPA陽性の患者では   ACPAレベルの上昇に伴い関節リウマチの発症リスクが大幅に上昇していることがわかりました。

この研究から無症状のACPA陽性の人は将来の関節リウマチの発症について綿密な経過観察が必要であり、このような人々が関節リウマチを発症しないような予防策の解明が今後の課題です。

 

(参考文献)

Julia A. Ford , et.al. Impact of Cyclic Citrullinated Peptide Antibody Level on Progression to Rheumatoid Arthritis in Clinically Tested Cyclic Citrullinated Peptide Antibody – Positive Patients Without Rheumatoid Arthritis. Arthritis Care & Research  2019 ; 71 : 1583 – 1592.
 
(2020.09.24)