関節リウマチの予後予測因子とは

関節リウマチの新診断基準関節リウマチの関節破壊の予後予測因子として 初診時の レントゲン上の関節破壊の程度、リウマトイド因子陽性(高値)、抗CCP抗体陽性、CRP高値、血清MMP-3 高値 が重要です。これらの因子を持つ場合は 早期から強力に関節リウマチの炎症を制御する治療法を用いて厳密な疾患コントロールを行う必要があります

関節リウマチの治療目標は 関節破壊の阻止と日常生活動作を正常に維持することです。その目標達成のためには できるだけ早期に診断をつけて積極的に強力な治療を行うことに尽きるとされています。つまり 治療効果が優れているという証拠(エビデンス)のある薬剤を使用し、厳密な疾患コントロールを行い、寛解を目指します( Treat To Target, T2T ― Topics 2011.05.07 の項 参照 )。
しかし 関節リウマチの病態自体は均一であっても進行にはかなりの個人差があることが知られています。したがって すべての人に「副作用の可能性をを伴う強力な治療を早期から行う必要性があるか」ということを十分に考慮しなくてはなりません。そこで 関節破壊の進行が早いハイリスク群を選び出して その人たちにのみ強力な治療を行う傾向が出てきています。この際に必要とされる情報が「予後予測因子」と言われるものです。

A)患者背景で関節リウマチの予後を予測しうる因子

①性、発症年齢

女性は男性に比べて関節予後が不良であると言われています。また 高齢(60歳以上)で発症した関節リウマチの方が発症時の活動性が高く、予後不良の傾向があります。

B)初診時から経過中に関節リウマチの予後を予測しうる因子

①発症から治療開始までの時間経過

関節リウマチの発症から2年間ぐらいが最も関節破壊の進行が早いことがわかっていますので、初診時までの期間、リウマチ専門医を訪れるまでの期間、抗リウマチ薬の投与を開始されるまでの期間が長いほど 関節破壊の進行が早いという報告があります。

②初診時の身体所見

初診時の疾患活動性が10年後の予後と関係するとの報告が多くあります。 特に初診時に腫脹関節数が多い、疼痛関節数が多い、リウマトイド結節があるなどは予後不良とされています。

③初診時の関節レントゲン所見

初診時のレントゲン上の関節破壊の程度は初診後 12ヶ月、24ヶ月目の程度とよく相関することが示されています。

④血液検査所見

血清リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体、MMP-3、CRP が重要な予後予測因子とされています。

リウマトイド因子

予後予測因子の中では最も重要であるとする報告が多く見られます。リウマトイド因子陽性例では陰性例に比べて関節破壊が12年間で 3.3 倍早いという報告があり、さらに リウマトイド因子の値が高値である程 関節破壊の進行が早いという報告もあります。

抗CCP抗体(anticycllic citrullinated peptide antibody)

抗CCP抗体は関節リウマチの診断に有用で2010年のACR/EULARの新診断基準にも採用されています(Topics 2010.10.12 の項 参照)。
さらに抗CCP抗体陽性例は陰性例に比べて関節破壊が進行しやすいという報告が多く見られています。
そして抗CCP抗体とリウマトイド因子の組み合わせが早期関節リウマチにおいて 最も正確に予後予測を行いうるという報告もあります。

炎症の指標(CRP、赤沈)

CRPや赤沈値は炎症の指標として最も優れており、関節リウマチの活動性を反映する指標として用いられています。一定期間のCRPや赤沈の積分値がその6ヶ月後の関節破壊の進展を正確に予測するという報告があり、予後予測因子としても重要です。

MMP-3(マトリックス メタロプロテアーゼ-3)

最近 特に注目されている血清マーカーです。MMP-3は 関節の中にある線維芽細胞、滑膜細胞や軟骨細胞から分泌される蛋白分解酵素で関節リウマチの早期から血液中で検出されます。MMP-3の値は滑膜炎の程度と比例して上昇するので関節リウマチの活動性を反映する指標として有用です。
またリウマトイド因子と比べて関節リウマチに対する感度・特異性とも優れており、早期関節リウマチの診断にも有用です。
さらに 早期関節リウマチ(発症から1年以内)の経過観察において血清MMP-3が治療経過中に上昇または高値を維持した症例は関節破壊が進行し、一方 低下または低値を維持した症例は進行しない傾向が認められたという研究結果が報告されました。さらに MMP-3の値はその検査後、6ヶ月、12ヶ月の関節破壊とも相関することが複数の研究で明らかとなっています。このことから血清MMP-3は関節リウマチにおいて重要な予後予測因子であることが明らかになって来ました。

(2012.12.28)