QUADROPHENIA・四重人格 ( THE WHO )

quadrophenia

QUADROPHENIA ( THE WHO ) / 1973年10月発売

QUADROPHENIA ( 四重人格 ) は THE WHO の 6 作目にあたるアルバムです。THE WHO が活躍し始めた 1965 年のイギリスを舞台にし、Jimmy というモッズ少年(モッズ、Mods とはイギリスの若い労働者のロンドン近辺で 1950 年代後半から 1960 年代中頃にかけて流行した音楽やファッションをベースとしたライフスタイル、およびその支持者を指す)の物語を描いたコンセプト・アルバムになっています。Jimmy は多重人格者であり、この少年の心の葛藤を軸に 四つの人格に THE WHO の四人を反映させて アルバムが展開していきます。本作品を基にした映画「さらば青春の光」が 1979 年に公開され、モッズ・リバイバル・ブームをひきおこしています。

Pete Townshend はかつて「 TOMMY 」「 WHO’S NEXT 」「 QUADROPHENIA 」がTHE WHO の傑作だったと述べています。

このアルバムの中で THE WHO のメンバー4 人がそれぞれ歌の中で担当している 4 つの性格は歌詞の中に表現されているはずなのですが、このアルバムで展開されている話は高度の文学的内容らしく、訳詩を読んでも 私にはさっぱり理解できず、真の内容を理解するためには 高度の英語力が必要と思われます。

このアルバムは全 17 曲からなるのですが 歌詞の深い意味を理解できなくても ロックアルバムとして 全く退屈しない曲作りがされています。
海の音から始まる 1曲目に続く 2曲目の The?Real Me を聞いた途端、ぶっ飛んでしまいます。リード・ベースといわれる表現がぴったりのJohn Entwistle のベースが踊りまくり、曲の主役となって Roger のボーカルと絡み合い 素晴らしいノリなのです。ベースというのはこういう弾き方もあるのだと感心させられてしまいます。この曲の中では Pete のギターは完全に脇役にまわっていますが、カッティングは正確なリズムを刻み、実に効果的です。この曲だけでもこのアルバムの存在価値はあります。
続く Quadrophenia は美しいギターとシンセサイザーの使い方が素晴らしい曲、そして おなじみの名曲 Cut My Hair 、「僕は一人」と Pete が歌う I’m One、Roger の歌とホルンを使用したメロディーが印象的な Helpless Dancer、穏やかなピアノラインから始まり THE WHO の代表曲としてライブでも必ず取り上げられる 5:15、そして Roger のボーカル、Keith のドラムが爆発し、ベースが再び踊りまくる Doctor Jimmy、この曲では特にシンセサイザーが効果的に使われています。
最後の Love Reign O’er Me は Roger のボーカルが圧倒的で 最大の見せ場をつくり、アルバムの最後を飾るにふさわしい曲と思われます。

全曲 Pete Townshend の作曲ですが、コンセプト・アルバムとして作られただけあって、非常に細部まで練られており、何度も聴くうちに THE WHO の凄さがわかってくるアルバムです。このアルバムを通して感じるのは後で映画で使われることを意識してか 効果音をうまく挿入してあり、さらにシンセサイザーをうまく使用して 4人のロック・グループでは表現できないような壮大なスケールの曲作りをしたということです。
このアルバムが日本では最近まで廃盤になっていたということは信じられないことであり、いかに日本で彼らが過小評価されてきたかを示す事実です。