MILAGRO ( SANTANA )

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MILAGRO(SANTANA) / 1992年5月発売

 

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ジャケット裏面の Bill Graham と Miles Davis の写真

SANTANA で どうしても最後に紹介しておかなければならないアルバムが このMILAGRO です。MILAGRO とはスペイン語で「奇跡」とか「神業」とかいう意味で タイトルどうり、C. Santana のギターは 久しぶりに激しく、パーカッションもすごい迫力で迫ってきます。

先に紹介した ZEBOP! (1981) 以降、SHANGO (1982), BEYOND APPEARANCES (1985), FREEDOM (1987), SPIRITS DANCING IN THE FLESH (1990) までバンドとしてのSANTANA は Pop 路線を走ることになり、ヒット作はあったものの音楽的に評価されたアルバムはありませんでした。
実際、このPop 路線、 C.Santana 個人としては 本当にやりたかった音楽ではなく レコード会社の売上枚数を増やすという意向に従っただけのようでした。これらのアルバムと並行して Carlos Santana 名義で Jazz, Fusion 色の強いアルバムをリリースしたのが 本当にやりたかったことのようです。それは WEATHER REPORT の Wayne Shorter との共演作であるTHE SWING OF DELIGHT (1980), HAVANA MOON (1983), そして先に紹介した BLUES FOR SALVADOR (1987) などです。

その様なバンド名義と個人名義の分裂が 1990 年まで続いた後、初期のスタイルに近いタイプの演奏に戻り、1992年に発売されたのが この MILAGRO でした。
このアルバムは 1991年に相次いで亡くなった Bill Graham ( SANTANA を見出して売り出した伝説のプロモーター ) と Miles Davis への追悼盤と言えるものです。C. Santana は Jazz 界の帝王と言われる Miles Davis を大変敬愛しており、共演もしていますが、CARAVANSERAI (1972) 以降のアルバムにおいて Miles から音作りに大きな影響をうけていると言われています。

アルバム全体の特徴として挙げられるのは、ラテンの熱気と強烈なリズムが戻ったものの サウンドが初期の SANTANA の特徴である泥臭いラテンサウンド(私はこちらのほうが好みだが)から都会的な Fusion 色の強いサウンドに変化したことと、ギターが YAMAHA から全曲 Paul Reed Smith (PRS) に代わったことにより やわらかく艷やかな音になったことです。

1.MILAGRO?; タイトル曲ですが、初めの MC は 1986 年の Bill Graham の声です。初期の頃の熱気がいきなり戻ってきたと感じさせる曲です。2. SOMEWHERE IN HEAVEN ; Luther King 牧師の演説からはじまるバラードですが、ソロギター、ボーカル共に素晴らしい曲で必聴です。3. SAJA/RIGHT ON ; SANTANA らしい曲、パーカッションとギターの絡み合いがすばらしい。ボーカルも良し。7. AGUA QUE VA CAER ; 歌詞がさっぱりわからないが、初期のアルバムに出てくるような強烈なラテンパーカッションが特徴の曲でギターもすばらしい。私のお気に入りの曲。8. MAKE SOMEBODY HAPPY ; これもすばらしいバラードですが、途中から入ってくるギターの音がとろけるようで なんとも言えない雰意気を創り出しています。10. GYPSY/GRAJONCA ; これもなかなかすばらしい曲。C. Santana のギターもよく泣いています。

全体を通して聴いてみると すばらしいアルバムです。後期の最高傑作として良いかもしれません。この後 復活作が続くと思われたのですが、1999年の SUPERNATURAL までは沈黙が続きます。有名アーティストとの共演でヒット曲満載であった SUPERNATURAL のグラミー賞独占を不可思議に思っている人々も このアルバムは認めるでしょう。しかし セールス上はあまり成功とは言えませんでした。